管弦楽団第59回定期演奏会曲目解説その1

ブログ May 17, 2020

メンデルスゾーン(1809–1847)/ 劇付随音楽『真夏の夜の夢』より

  • 「序曲」(作品21)
  • 「スケルツォ」「間奏曲」「夜想曲」「結婚行進曲」(作品61)
作曲 序曲 1826年
その他の劇中音楽 1843年
初演 序曲 1827年2月20日、シュテッティンにて
その他の劇中音楽 1843年10月14日、作曲者本人の指揮によりポツダム宮殿にて。

フェリックス・メンデルスゾーンは、ドイツのハンブルクでユダヤ系ドイツ人の家庭に誕生した。彼は若くして作曲を始め、その作品のジャンルは交響曲、教会音楽、聖譚曲など…と多岐にわたる。

イギリスを代表する劇作家、詩人であるウィリアム・シェイクスピアの喜劇〈真夏の夜の夢〉(1595)を題材として、メンデルスゾーンは1826年に序曲を、1843年にその他12曲の劇中音楽を作曲した。戯曲〈夏の夜の夢〉は、夏至の頃のアセンズ(アテネ)近郊の森で起こった幻想的な物語を描いている。結婚式を四日後に控えているアセンズの大公シーシアスとアマゾン族の女王ヒポリタ、愛し合っているが許しを得られず駆け落ちすることを決めるライサンダーとハーミア、愛する人に振り向いてもらえないデメトリアスとヘレナ…それぞれ事情を抱える人間たちが、妖精王と妃の喧嘩や、いたずら好きの妖精パックの勘違いによって引き起こされる大混乱に巻き込まれていく。しかし夏の長い一日が終わり、夜が明けると、結局はめでたく全員幸せな形に収まる。この物語は非常に愉快で、情景の浮かぶ美しい作品である。

序曲(Allegro di molto きわめて速く ホ長調 2/2拍子)

1826年、17歳だったメンデルスゾーンは〈夏の夜の夢〉のドイツ語訳を読んで序曲を書き上げ、この戯曲全体の流れをソナタ形式で見事に表現した。

物語の中に誘うような、木管楽器による美しい和音ののち、森の中を飛び交う妖精たちをヴァイオリンの軽やかなメロディで絶妙に表している。最初の木管楽器の四音は、メンデルスゾーンが夕刻に自宅の庭で葉がカサカサと音を立てているのを聞いて、走り書きしたものだという。

やがて突如として現れる荘厳なフォルテシモの和音は、戯曲の始まりのシーンであるアセンズ(アテネ)の大公シーシアスの宮廷を示し、その後の第二主題は物語に登場する人物たちの愛の調べを甘美な下降音形で示している。次に、職人たちが踊るベルガマスク舞曲が登場し、妖精たちがテーマの展開部、各主題の再現部を経て、最後は再び冒頭の和音で消えるように終わる。

スケルツォ(Allegro Vivace 快速に速く ト短調 3/8拍子)

第一幕と第二幕の幕間に演奏される。木管楽器から始まり弦楽器へと引き継がれていく軽やかなメロディは囁き声や木々の揺れる音を思わせ、第二幕の最初のシーンは森の中で、そこに妖精たちが登場することを予感させる。

間奏曲(Allegro appassionato 熱情的に速く イ短調 6/8拍子)

第二幕の終わりから第三幕にかけて演奏される。対照的な二部から成り、前半は乙女ハーミアが恋人のライサンダーを探して森をさまよう様子を表している。後半は第三幕に入り、6人の職人たちが登場してくる行進曲である。

夜想曲(Andante tranquillo 平穏に歩く速さで ホ長調 3/4拍子)

第三幕の終わりの、ライサンダーとハーミア・デメトリアスとヘレナが妖精パックの魔法で眠りにつくシーン。冒頭のホルン独奏によって情緒的でロマンティックな雰囲気を作り出す。

結婚行進曲(Allegro Vivace 快速に速く ハ長調 4/4拍子)

第五幕開始の、大公シーシアスと女王ヒポリタの結婚式のシーン。トランペットのパワフルなファンファーレでマーチが始まる。多少ゆったりとしたテンポになっていることが多いものの、今日も結婚式の曲としてよく知られている曲である。


楽器編成

フルート 2 ホルン 2
オーボエ 2 トランペット 3
クラリネット 2 トロンボーン 3
ファゴット 2 オフィクレイド
ティンパニ シンバル
弦五部

参考文献

文責:コンサートミストレス3年 中村美月


この曲目は2020年5月31日(日)に予定されておりました管弦楽団第59回定期演奏会にて演奏予定でした。演奏会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け中止いたしました。

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