管弦楽団「特別演奏会 2020」曲目解説その1

ブログ 11/24, 2020

ワーグナー(1813–1883)/ 歌劇「ローエングリン」より第1幕への前奏曲・第3幕への前奏曲

作曲 1848年3月
初演 1850年8月28日 ヴァイマル宮廷劇場にて

リヒャルト・ワーグナーは1813年にザクセン王国ライプツィヒで生まれた作曲家、音楽理論家である。彼は音楽と劇、文学の融合による総合芸術を理想とし、彼の芸術観や楽劇における大規模な管弦楽法、独特な和音構成などは当時のヨーロッパ音楽だけでなく時代や国境を越えて多大な影響を与えている。

『ローエングリン』はワーグナーが1848年に完成させた、3幕から成る歌劇である。「ロマン派オペラ三部作」の最後の作品として知られている。作品が完成した1848年から初演まで期間が空いているのは、当時の政治的状況とワーグナー自身がスイスに逃亡していたためである。ワーグナーは初演を見ることはかなわず、結局彼が全編上演を見ることができたのは1861年になってのことであった。


『ローエングリン』物語のあらすじ

第1幕

舞台は10世紀前半のアントワープ近郊、スヘルデ河畔の草地。ドイツ国王ハインリヒが兵を集めるためにブラバンド公国を訪れる。この時、公国の公女エルザが弟であり次の大公でもあるゴットフリートを殺害したと伯爵テルラムントは国王に訴える。これを聞いた国王は決闘で決着をつけるよう言い渡し、エルザは伯爵テルラムントとの決闘相手に夢で見た騎士を選ぶ。不思議なことにこの騎士ローエングリンはエルザが祈ると白鳥に乗って現れ、自分の名と素性を聞かないことを条件に伯爵と闘い、勝利を収める。これによりエルザの無実は証明された。

第2幕

伯爵テルラムントの妻オルトルートの正体は魔女で、彼女がエルザの弟ゴットフリートを白鳥の姿に変えてしまった犯人であった。オルトルートはエルザをそそのかし、ローエングリンへの疑念を抱かせようとする。

第3幕

第2幕の最後でローエングリンとエルザが婚礼の式のために礼拝堂へ向かう。華々しい前奏曲と「婚礼の合唱」の後第三幕が始まる。名も素性も明かさないローエングリンにエルザは不安を募らせ、ついに彼に素性を問い詰めてしまう。その時突然テルラムントとその臣下がローエングリンに襲い掛かり、ローエングリンは彼らを斬り殺す。エルザたち夫婦の幸せは早くも終わりをつげ、ローエングリンは自らが聖杯王パルジファルの息子であることを明かし、白鳥の姿になっていたゴットフリートをもとの姿に戻すと同時にローエングリンは遥か彼方へと去っていく。エルザは悲しみのあまり弟ゴットフリートの腕の中で息絶える。


今回演奏する「第1幕への前奏曲」と「第3幕への前奏曲」は劇中曲の中でも特に有名で、オーケストラのコンサート曲として独立して演奏されることも多い。

第1幕への前奏曲(Langsam ゆっくりと イ長調、4/4拍子)

この前奏曲では劇の筋を描くものではなく、「奇蹟をもたらす〈聖杯〉の出現」を重要かつ簡潔に示すものである。8パートに分かれたヴァイオリンによって最初の〈聖杯〉の主題が演奏され、徐々に管楽器に受け継がれることによって重厚感が増す。最後はまたヴァイオリンによる和音で終わる。これは天使が聖杯を持って天から降りてきて、再び天に戻っていく様子を表している。

第3幕への前奏曲(Sehr lebhaft とても生き生きと ト長調 2/2拍子)

物語のあらすじ部分で前述している通り、この前奏曲は婚礼の式を彷彿とさせる豪華で壮麗なメロディで構成されている。楽曲は簡潔な第三部形式である。


楽器編成

第1幕への前奏曲

フルート 3 ホルン 4
オーボエ 2 トランペット 3
イングリッシュホルン トロンボーン 3
クラリネット 2 テューバ
バスクラリネット ティンパニ
ファゴット 3 シンバル
弦五部

第3幕への前奏曲

フルート 3 ホルン 4
オーボエ 3 トランペット 3
クラリネット 3 トロンボーン 3
ファゴット 3 テューバ
ティンパニ シンバル
トライアングル タンブリン
弦五部

参考文献

文責:コンサートミストレス3年 中村美月


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