2021式典演奏レポートその1

ブログ 2021年4月3日

こんにちは。学習院輔仁会音楽部です。

3月20日には学習院大学令和2年度修了式・卒業式、4月3日には令和2年度入学式・令和3年度入学式が挙行されました。

毎年、大学側から正式に演奏の依頼をいただいており、音楽部の年度末・年度始めの恒例行事となっています。まずは式典開始前に短めの曲をひとつ。つづいて院長・学長入退場曲、国歌、(卒業式では蛍の光、)そして学習院院歌を演奏させていただきました。

令和元年度(昨年度)の修了式・卒業式は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により中止となりました。例年、新2・3年生が中心となって演奏しますが、昨年度に中止となってしまったということは、新2年生のみならず新3年生にとっても初めての式典演奏です。

本年度の式典そのものは例年通り学習院創立百周年記念会館にて行いましたが、専攻・学科ごとに指定された会場(各教室)に映像を同時配信し、修了生・卒業生・新入生は会場のモニターにて式典が行われている様子を視聴するという形式をとっています。


正式に演奏の依頼をいただいたのは2020年12月末のことです。

併せて、ご担当者さまより、「今年度の式典については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、舞台上の人数をなるべく少なくするため、客席で演奏することはできないか」という旨のご相談をいただきました。

客席で?演奏?とは。

想像がつきません

例年は舞台上での演奏。学長・院長の後ろにオーケストラを並べ、左右の来賓・教職員の方々の後ろには合唱団を二手に分けて配置していました。

そもそも、12月の時点では3月、4月に社会の状況がどうなっているのかなんて想像がつきません。

本当に式典なんてできるのか?とぼんやりしていたら、ご担当者さまからのメールに添付されていた配置案をクリックして驚きました。演奏者どうしがあまりにも離れている!指揮者の近くに誰もいない図面、なんだか切ない気持ちになります。

ソーシャルディスタンスを保つことを第一に考えて作られたものだと想像できるので仕方ありませんが、これではオーケストラと合唱全体で音を合わせてまとまりある演奏に仕上げることが難しいだろうと判断し、配置はこちら側に任せていただくことに。

新型コロナウイルス感染症の影響がまさかこんなところに出てくるとは。これまでに客席で演奏を行ったオーケストラ・合唱団は私たち以外にあるのでしょうか。というような疑問を頭の片隅に浮かべつつも、これしかないというのでやるしかありません。あれこれ考えて客席の図面に書きこんでは消して、2階の客席はどうかと思いついたり、合唱団のための副指揮者を立ててみようとしました。迷走していますね。

ここは落ち着いて、まず下見をするべき。会場で実際に椅子と譜面台を並べに行きました。

斬新すぎる。

普段と違う環境で演奏する

限られた範囲のなかで奏者がうまく市松模様になるよう、オーケストラの人数を調整しました。一定の距離を保ちつつも、演奏で息を合わせられる絶妙な具合です。合唱団は、普段ならオーケストラの後方あたりに置くところを向かって左側のブロックにまとめ、こちらも市松模様に配置。

2階から見るとこのような感じ。

客席側での演奏となると、オーケストラは譜面台の置き場所が課題です。さらに、大型の楽器は演奏するにあたって動ける範囲をなるべく広げるための工夫が必要となってきます。

基本的には立奏で、自分が立って演奏する列のひとつ前の列に譜面台を置いてみました。本番ではなるべく高さも揃えて、配信映像の見映えが悪くならないように注意します。座席側で市松模様という制限はあっても極力本来の配置に近づけるべく、パートごとにまとまりを持たせたいところ。

ひとつ前の列に譜面台を置いています。

一定のスペース確保と椅子を別途持ってくる必要があるチェロ・コントラバスは、無理やり通路の部分を利用しました。仕方なく縦一列に並べさせていただいております。狭くて本当にごめんなさい。

通路に縦一列。椅子は後ろギリギリです。

さて、これで見た目はなんとなく整ってきたものの、いざ練習で音を出してみるとうまく音が混ざりません。しばらく合奏を続けてみますが、どうしても前と後ろでテンポやタイミングがズレてしまいます。本来あるべき配置よりも奥行きがあって指揮者やコンサートマスターが見づらいので当然です。さらに、ティンパニを置いた会場の後方(出入り口付近)は照明が当たらないので暗くなってしまいます。

そこで、コンサートマスターのアイデアにより弦楽器のトップ陣4名は一列前に出して、とにかくお互いがよく見えるように、指揮とコミュニケーションがとれるように改善。また、後ろの管打楽器側から指揮を見やすくするため、指揮者はちょうどいい高さのピアノ椅子の上に立ちました。

修了式・卒業式予行終了後の一枚。試行錯誤のうえ、なんとか配置完成。練習お疲れ様でした。

こうした普段と違う環境で演奏するとき、特に重要なのは、アイコンタクトとブレス、お互いの感覚で何かしらの合図を送りあい、受け取りあうこと、存在を意識しあうことだと感じました。

でもそれってきっと、普段からやるべきことなんじゃないの?と気づかされます。

難しかったことや苦労したことを経験にかえて、これから控えている自分たちの定期演奏会へ活かしていきたいです。

余談ですが、本日の式典映像を視聴してくれた新入生諸君!
ご入学おめでとうございます。

大学4年間で私たちと一緒に音楽しませんか?先の見えないこのコロナ禍で、一緒に頑張ってくれる仲間を大募集中です。新歓お問い合わせフォームからのご連絡、お待ちしております。

さらに、次回の更新では進行の裏側も交えつつ式典本番の様子をご紹介してまいります。お楽しみに。

楽事委員長・管弦楽団学生指揮者
クラリネット3年 石川未夕

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